ココは蘭丸オリジナルのBL小説置き場です☆沢山の愛を込めておきますので、訪れて下さった皆さんに笑顔や感動をお届け出来ますように…☆

☆G M W☆

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§~About Us~Vol.Ⅱ【3】§


。。。。。。。。。








ココは何処かの高級ホテルかってくらいのシャワールームで、

雨で濡れた体を清めていると、

ドアの向こうからアイツの声がしてシャワーの湯を慌てて止める。










『ボクのだけど、

着替え、置いておくから。』






『……ぁ…ごめん……。』






『謝らないのっw

君はもう、

ボクの服を共有してもいい関係なんだから。』






『……関係って……。』






『上がったら、

美味しいレモン水を用意しておくから、

話しながら一緒に飲もう?』






『……ん……。』








″Patan……″









……レモン水、か……








こうして至れり尽くせりな状況は初めてだから、

くすぐったくて気恥ずかしくて。






オレがココでの生活に馴染むことが出来るのかどうか、

少しずつ不安も覚えてきていて。








もう1度熱い湯を頭から浴びて、

そそくさと上がって用意されたロンTに首を通すと、

またアイツの香りが漂ってきて、

何故か胸がキュッとなる。








……この香り

ほんと、ヤバい……








今度は体の奥の方が疼いてくる気配を感じて、

少し怖くなって急いで全ての着替えを済ませ、

濡れた髪のままリビングへと出ていく。










『おかえりっ。』






『……。』






『あーぁ、

髪、乾かさないと風邪引くよ?

ドライヤーあったでしょ?』






『……ごめん……場所、解らなかった……。』






『あはっ。

今持ってきてあげるから。』










そう言って、オレをソファーに誘導すると、

テキパキと動いてはドライヤーを片手に笑顔で戻ってきた。










『乾かしてあげようか。』






『……い、いいよっ!

それくらい、自分でやる……。』






『そうかw』










コンセントにプラグを差し込んでオレに手渡すと、

向かいのソファーに腰掛けたソイツが背凭れに寄り掛かりながら、

オレが髪を乾かす姿をマジマジと眺めてくるから、

壊れかけのロボットみたいに動きがぎこちなくなる。









″Gooooo……″








『……見んなよっ。』






『えっ??』






『見るなっつーーのっ!』






『いいじゃんっw

ボクのモノなんだから、いくら見たっていいでしょw』






『オレはモノじゃないっ!

……調子に乗るなっ……。』






『くくくっw あはははっw』









……ったく……

そんな無邪気に笑いやがって……




……てゆーか

オレがアンタを無邪気にさせてるのか……?








ドライヤーのスイッチを止めて、

コードを綺麗にまとめてソファーの脇に置くと、

ソイツが待ってましたと言わんばかりに立ち上がって、

部屋の小さなカウンターキッチンからグラスを両手に持ってくる。










『はいっ、レモン水。

以前、イタリアへ旅行に行った時に美味しくて感動してね。

取り寄せて一昨日届いたモノなんだ。』






『……イタリア、ね……。』






『そっ。

いつか連れていってあげるからね。』






『簡単に言うよなぁ……。

ほんと、オレとは身分が違い過ぎるっ……。』










言いながらグラスを手に取って、

薄く黄色に色付いたレモン水をそっと口に運ぶ。










『……ぅまっ……。』






『でしょ?

まだ沢山あるから、オカワリもどーぞ。』






『……あの、さ。

オレ、ココでどーやって生活していったらいいんだ?

アパートの私物も何ひとつ持ってきてないし……。

明日から少しずつ運び入れていくにしても限度があるだろうし……。』






『必要最低限のモノだけでいいよ。

あとはボクが用意してあげるから。』






『……でも、さ……。』






『慌てなくていいよ。

ゆっくり考えていこう?』






『……。

あーそれと……

オレはココで何をすればいいんだ?

専属のハウスキーパーって言ってたけど、

つまり、

この部屋の掃除とかアンタの服の洗濯とか……てことか?』










すると、

猫髭を生やしたみたいなシワを作って笑ったソイツは、

レモン水を一口飲んでから、

前のめりになってオレの顔を凝視して言った。










『何もしなくていいんだよw

君は自由にして構わない。

他で仕事をするのも良し、

友達と出掛けるのも良し。

ただ、

毎日必ずボクの元に帰って来てくれることが条件だよ。』






『……そんなんで、いいの……?』






『ぅん。

君にだってひとりの人間としての感情や考えがあるわけだから。

ボクのことを1番に信じてくれるなら、

何をしてもいいと思ってる。

あ……それともうひとつ条件があるな……。』






『……なに?』










目を反らして、

右手の人差し指を鼻の下に当てたソイツは、

もう1度目を合わせてから珍しく遠慮がちに呟いた。











『……いつか、

ボクを名前で呼んでほしい。

すぐにとは言わないから……さ。』








″Doku……″










……そんな目で見るなよ……


……そんな条件 作るなよ……






……なんなんだ、この感覚……


……なんなんだ、この感情……










『……と、なり……』






『ん?』






『隣に……行っても、いい、か……。』






『えっ?

あ、ボクの隣っ?』






『……そこしかないでしょーがっ……。』






『あはっ、そーだよね。

ぅん、おいで?』










……何言ってんだ、オレっ……


隣に行ってどーするっ……








膝に肘をついたまま、

両手をオレに広げて見せてくるから、

テーブルを挟んでいることを忘れて飛び付きたくなる自分を抑え込み、

立ち上がってソイツのソファーの左側に収まる。










『……オレ…アンタの飼い猫なんだから……さ。』






『……?』






『……たまには……こうしても、いいだろ……。』






『リンネ……?』










そして、

自分の言動や行動にブレーキをかけるのを諦め、

心のまま素直に身を預けていくと、

オレからコイツに抱き付いていて、

左の首筋に鼻を当てて嗅覚を働かせる。








″Kun Kun Kun……″









『……男でも……オス猫なら、

人間の男に擦り寄ったって、おかしくないよな……。』






『……。』






『……オレ……

アンタの香り……すげぇ好き……。』






『……昔からのお気に入りの香水の香りだよ……。』






『これ……もしかして、ストロベリー……?』






『すごいな……よく解ったね。』






『……苺、好きなの……?』






『ぅん、小さい頃からね……。』






『……そうか……オレも好き……。

似た者同士、だな……オレ達……。』










すると、

コイツの両腕がオレの背中を回り、

大きく吐き出す息と共に力強く抱き締められていく。






それが無条件に嬉しくて堪らなくて、

オレの腕にも自然と力が入っていく。










『……ボクの可愛い子猫ちゃん……。』






『……。』






『……今度、一緒に苺を沢山食べようね……。』






『……くくっ……。

しょーがないな……食べてやるよ……。』










オレのこの性格は

きっと一生治らないけど




オレのこの性格を

きっとアンタは解ってくれる








……初めて全てを信じて委ねてみようと想えた人が

アンタでよかったと思わせてくれよな……









。。。。。。。。。。



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§~About Us~Vol.Ⅱ【2】§


。。。。。。。。








結局、

陽が暮れ始めるまで何もする気になれず、

ようやくスーツをクリーニングに出そうと外を歩く途中、

シトシトと憂鬱な雨が降り出した。








スーツを入れた紙袋を抱え込み、

近所のクリーニング店に駆け込んで、

顔馴染みの奥さんと軽く会話を交わしてから外へ出ると、

更に雨足が強くなっていた。








このままホテルへ向かわなかったら、

オレは家族を失うことになるだろう。






たとえ見せ掛けだけの家族だとしても、

完全に独りになるよりはマシだと思ってきたけど……。









ずぶ濡れになっていることも忘れて、

トボトボと無意識に家とは反対方向へ歩いていると、

フォグランプを点けた車が一台、

オレが歩く歩道とは反対側に寄せて停車した。









″Patan……″




″Chap Chap Chap……″









車を降りて走る足音を聞きながら、

そこへ目を向けずに歩を進めていると、

徐々にその音が背後に近付いてきて、

仕方なく避けようと身を左へ寄せた瞬間……









『リンネっ!』






『……ぇ……。』










その声に肩を震わせ反応したオレは、

立ち止まってゆっくりと振り返る。








そこには、

大きな傘をさしたアイツが、

昨日の別れ際に見せた悲しげな瞳でオレを見ていた。










『……なん、で……。』






『君を迎えに来た。』






『……ど、して……。

オレの住処(すみか)、知らないのに……。』






『君のホテルに今行ってきたところだよ。

従業員に君の住所を教えて貰ったんだ。』






『……迎えに来たって……

オレはアンタの所に行くなんて言ってない……。

2度と顔も見たくないって言った……。』






『……今、ボクの顔を見て、

やっぱり嫌な気持ちになった?』






『……。』










……なんだよ……


そんな質問、してくるなよ……


そんな優しい声で、してくるなよ……










『……リンネ、泣いてる?』






『……泣いてないっ!

つか……呼び捨てすんな……っ。』






『……何があった?

どうして傘もささずに歩いてる?

……ボクに聞かせて?

ボクが守ってあげるから。』






『……やめっ……ろっ……っ』






『もう我慢しなくていいから……。

ウチへおいで?

ボクのところへおいで?』






『……だっ…からっ……やめっ……っ』






『……もう1度言うよ、リンネ。

君はもう捨て猫じゃない……。

ボクの大事なリンネなんだよ……。

だから、おいで……。』






『……っく……っ……ぅ……っ』










……もうダメだ……


……もう誤魔化せない……


……もう耐えられない……








俯きながら頭の中を無にすると、

足が1歩ずつ前を目指して動いていく。







そして、

アスファルトに溜まった水溜まりに、

コイツの姿が滲んで映るのを目にすると、

コイツの靴がその水溜まりを踏んで、

びしょ濡れのオレを躊躇うことなく抱き締めた。










『……っ……うっ……っ』






『リンネ……ありがとう……。』






『……濡れっ…るぞっ……アンタっ……』






『構わないよ……。』






『……やめろって…言ったのにっ……

アンタのっ…せいだからなっ……っ』






『ん……ボクのせいだよ……。』






『……絶対にっ……捨てんなよっ……っ』






『ん……捨てないよ……。』






『……捨てたらっ……許さないっ……っ』






『ん……許さないで……。』






『……ぅっ……っ…ばかっ……っ』






『あはっ……

ん……バカだよ……。』











冬の冷たい雨のはずなのに、

コイツの腕の中は嘘みたいに暖かくて。






触れられることを異常に拒絶していたのに、

コイツに身を委ねると嘘みたいに落ち着く。








大きな傘とコイツの体温に守られる中、

首に腕を回してオレからも抱き締めてやると、

大好きな香りが甘く鼻腔を通過していく。









……もう捨て猫に戻らなくていいんだ……








今はただそれだけで、

十分過ぎるほど救われた気持ちになっていた。








。。。。。。。。。。


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§~About Us~Vol.Ⅱ【1】§


*:;;;:*゜。+☆+。゜+*:;;;:*:;;;:*゜。+☆+。゜+*:;;;:*











……あれは夢だったんだろうか……









いつも通りの部屋のいつも通りのベッドで目が覚めてから、

布団の中で寝返りを打ちながら何度も自問自答している内に、

決定的な証拠がソファーにあることを思い出す。










″Basa!″








掛け布団を剥いで飛び起きて、

リビングのソファーへ急ぐと、

アイツに借りたスーツが背凭れにしなだれ掛かっていて。










『夢じゃ、ない……やっぱり。』










なんとなくジャケットを手に取ってみると、

アイツの香りに敏感に反応する自分が、

本当に猫なんじゃないかとさえ思えてくる。









あれからアイツの家を飛び出して、

一目散に家路を目指している間、

息切れして走る速度が落ちていく毎に、

後ろ髪を引かれるような感覚が増していった。






大通りに出てタクシーを拾い、

後部座席に乗り込んで窓の外を眺めていたら、

元の生活に戻らなきゃいけない現実に、

少しだけ後悔していった。










【少しでもボクに興味を持ってくれたんじゃないのかな?

僅かでも″飼われたい″って想ってくれたんじゃないのかな?】






【……君はもう、

捨て猫なんかじゃない……。

ボクの大事なリンネになる……。】






【……ボクを癒して……。

……ボクも君を癒すから……。

……ボクを癒せるのは、君しかいない……。

……君を癒せるのは、ボクしかいない……。】









アイツがオレにかけた台詞達が、

夜景の流れに乗ってオレの頭の中でリピートされて、

その時は気付かなかったその台詞達の重みを痛感していった。









……アイツはオレを必要としていて……


……自分だけじゃなくオレのことも考えていて……








これまでの人生の中で、

人に必要とされたり癒して貰ったことなんてなかったし、

と言うよりも、

そんな願望を抱くこと自体が、

自分の首を絞めることになるから諦めていた。






でも、

アイツはオレの事情なんて何も知らないのに、

どうしてオレを捨て猫みたいだと見抜いたり、

大事だとか必要だとか想ってくれるんだろう……。










『……あ……。』









気付くと知らぬ間にジャケットを両腕で抱き締めていて、

慌ててソファーの上へ放ると、

スマホが寝室で鳴り出して、

小走りに戻ってベッドに座り画面をタッチする。










『……もしもしっ。』






″おはよう。″






『おはよう……母さん。』






″これから社長とコウヤと私の3人で、

急遽韓国のホテルの視察に行ってきますから。

貴方はココに残って雑用を頼むわね。″









……雑用、ね……


オレがすること成すこと全てが雑用なんだろ……










『あの……母さん。』






″なにかしら?″






『……オレ、他に働きたい仕事を見つけたんだ……。

だから、もうホテルでは働かないと思う……。』






″何を勝手なことを言ってるの?

貴方は一応でも橘家の息子なのよ?

貴方の我儘で名字を変えることを頑なに拒んだり、

正式な従業員にならずに、

バイトで働いていることだって多目に見て上げているのに、

今度は働かないですって?

そこまで言うなら、

いっそのこと家族の縁も切りましょうか?″










……あぁ、まただ……





オレが少しでも彼女の意にそぐわないことを口走れば、

必ずこうして縁を切ろうかと提案してくる。






オレに選択肢を与えて、

自分には責任が無いように仕向けて、

オレが縁を切ると答えるのを心待ちにしているんだ。










『……少し、考えさせて……。』






″考える猶予も必要ないと思うけど?

ま、今日は私達は留守にするし、

その間にきちんと答えを出すことね。″






『……。』










ちっとも名残惜しくない通話を終え、

勢いをつけて後ろのベッドに倒れると、

さっきまでの母親の声がランダムに聞こえてくる。






どの言葉にも愛を感じられなくて、

両耳を塞いで踞っていると、

再び昨日のアイツの台詞がアイツの声で聞こえてきた。






それがとても温かく優しく感じて、

荒んでいく心を食い止めてくれるようで……。










『……まだ……拾ってくれんのかな……。』










自分の口から溢れ出たその台詞のせいで、

オレが否定してアイツが見抜いたオレの真の姿を、

認めざるを得なくなった。










。。。。。。。。


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§~About Us~☆Cast☆§






☆村瀬リンネ(24)

SNホテルの息子だが、
父親である橘社長は義父。



☆東郷ユヤ(26)

有名音楽販売店WaTの息子。



☆東郷ハル(29)

ユヤの兄。



☆アンナ(70)

東郷家のメイド。






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§~About Us~Vol.Ⅰ【5】§

。。。。。。。








その食事会の参加者は、

女10人ほどと、男はオレを含めて5人ほどで、

立食式のラフな雰囲気で行われた。








オレは部屋の隅の小さな丸テーブルで、

次々と運ばれてくる料理を口にしながら、

一応アイツの動きを目で追ってみたけど。






食事会がスタートしてからは、

1度もオレを気にしたり声を掛けてくる様子もなく、

アイツの元に女が入れ替わり立ち替わりやってくる。








……自分がモテるってことを

オレに見せ付けたいってことなのか……?








何の為に自分がココに居るのかさっぱり解らなくて、

居心地も最悪な状態で、

ついワインが進んでしまう。








すると、

ひとりの男が無表情でオレを直視しながらやってきて、

テーブルの対面に立って淡々と話し掛けてくる。









『君、初めて見る顔だね?』






『あ……は、はい……。』






『ユヤの友達?』






『……えっと……そう、です……。』






『そう。

僕はユヤの兄のハル。

もしかして、

ユヤがハウスキーパーで雇うかもしれないと言っていたのは、

君のことかな?』








……なんだっ、アイツ……

なんで勝手にそこまで話してるんだよっ……









『……それはっ……まだ、未定とゆーか……そのっ』








焦る自分に余計に動揺してしまい、

みっともなく口籠っていると、

人影がもうひとり分増えて。




顔を上げるとアイツが男の右肩を掴んで、

明らかにうわべだけの笑みを向けていた。









『兄さん。

この人は先程お話したリンネくんです。

ボクの専属のハウスキーパーになる予定ですが、

とりあえず今日1日ココで過ごして流れを見て貰ってから、

進退を決めて貰うことになっていますので。』






『なるほどね……。

ところでユヤ。

目ぼしい相手は見つかったか?

お父様もお母様も相当ヤキモキされているぞ?』






『そうでしょうね……。

でも、ボクにも一応、

人間としての感情がありますので。

今夜もあいにく期待には答えられそうにありません。』










ふたりの会話を解読しようと必死で耳をダンボにしていると、

今度は白いドレスのようなワンピースを着た女が、

跳ねるようにふたりの間に割って入ってきた。









『ユヤさんっ、みーつけたっ♪

ねねっ、今日のこの服、どうかしらっ。』






『あー、よくお似合いで。』






『うふっ、そーでしょ?

パパに選んで貰ったのよっ、

ユヤさんの好みはきっと清純な雰囲気の女性だろうって。

ハルさんっ、

私、ユヤさんに最も相応しい女だと思いませんっ?』






『はははっ!

学生時代から君はユヤ一筋だからなぁ。

ユヤ?

そろそろマリくんの気持ちに答えてあげたらどうだ?』









……つまり

このマリって女はコイツのことが好きなのか……






これまで聞いた会話をまとめると、

この食事会やウチのホテルで行われていたパーティーは、

コイツのパートナー探しってことになる。








ようやく状況が飲み込めてきて、

無意識に頷いていると、

ソイツが深呼吸をして半分呆れたような顔をして言う。









『……ボクは焦って将来を決めたくはありませんので。

マリ?

こんなボクを待つよりも、

他を探した方がよっぽど幸せになれると思うよ。』






『ふふっ、

そんなことを言われても私は諦めませんからっ。

他の女性がこれ以上寄り付かないように、

今夜もココを離れないわっ♪』









……ほんっとバカらしい……




……なんだ、この会話っ、この会合っ……




……このままココに居たって

オレには何の得も無い……




……コイツに飼われたって

オレが幸せになるワケがない……









3人がオレの存在を忘れて話している隙を狙って、

テーブルから離れて分厚い扉を開け、

小走りに廊下へ出ていく。








薄暗い照明の中、

走る速度を上げてアイツの部屋を真っ直ぐに目指していくと、

後ろから駆け足の音が追ってくるのに気付いて振り返る。









『リンネくんっ!』








アイツがひとり、

ジャケットを翻しながら走ってくるのを見て、

辿り着いた部屋のドアを開けて急いで閉めて、

バッグと着てきた服を無造作に抱えてドアノブに手を掛けると、

勢いよくドアが開いて押し戻された。










『はぁ……はぁ……』






『……。』






『……帰るのっ……?』






『……そうだよ……。』






『……どうしてっ……?』






『……オレがココに居る意味、

全く無いだろっ……。』






『……解らなかったのっ……?

ボクが君を必要としている理由っ……。』






『だからっ!

……解るわけないだろっ?

アンタは家族に愛されていて、

これからパートナーも見付けて家庭を築いていくんだろっ?

何処にオレみたいな捨て猫を必要とする理由があるんだよっ。』






『……今、自分で言ったね、

捨て猫って……。』






『……っ……。』









呼吸を整え、

形のいいアーモンド・アイを細めたソイツは、

1歩ずつ踏み締めるようにオレに近付いてくる。






外灯の明かりだけが差し込む部屋が、

この状況を一層怪しくさせる。









『……君はもう、

捨て猫なんかじゃない……。

ボクの大事なリンネになる……。』








そう言って両腕をオレへと伸ばしたソイツは、

その腕の中へオレを瞬時に収めて、

呪文のように囁いた。









『……ボクを癒して……。

……ボクも君を癒すから……。

……ボクを癒せるのは、君しかいない……。

……君を癒せるのは、ボクしかいない……。』








″Don!!″








『ふざけんなっ!!』






『……。』






『……触るなって言っただろっ……。

……気持ち悪いって言っただろっ……。

アンタの顔なんか2度と見たくないっ!』










突き飛ばされて壁に寄り掛かったソイツは、

俯きがちな上目遣いでオレを悲しげに見つめていて。






その目がまるで捨て猫みたいに見えて、

一瞬だけ心拍のリズムが乱れたけど。








これ以上ココに居たら、

オレが築き上げてきたモノが全て狂いそうで、

無理矢理視線を外して部屋を飛び出していた……。








*:;;;:*゜。+☆+。゜+*:;;;:*:;;;:*゜。+☆+。゜+*:;;;:*



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体は♀心は♂

俺は俺のまんまで生きてます。

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